那覇市曙にある首里手系の史跡「拳聖 仲里周五郎」をご紹介します|沖縄伝統空手道振興会
那覇
那覇市曙の安謝緑地。港沿いの潮風流れるさわやかな遊歩道の片隅に、趣のある顕彰碑が静かに佇んでいます。刻まれた名前は「仲里周五郎(なかざと しゅうごろう)」。沖縄空手の世界で「拳聖」と称えられた、沖縄空手道小林流少林舘協会宗家で初代会長、その人です。
仲里周五郎氏は、1920年(大正9年)、沖縄・那覇の首里山川町に生まれました。幼い頃から空手と古武術の修行に打ち込み、沖縄伝統の技と精神を徹底して身につけていきます。戦後、多くのものが失われていく混乱の中でも、氏は「型(かた)は絶対に崩してはいけない」という信念を貫き、沖縄空手の伝統文化としての価値を守り続けました。
その活動は指導だけにとどまりません。小林舘協会の開祖として流派を組織化し、県空手道連合会の最高顧問など数々の要職を歴任。沖縄空手界の発展を陰から支えた中心人物として、国内外での演武活動にも積極的に取り組み、世界に向けて沖縄空手の魅力を発信し続けました。
その功績は高く評価され、1998年には琉球新報社の沖縄空手道・古武道功労賞を受賞。2000年には沖縄県指定無形文化財「沖縄の空手・古武術」の保持者として認定され、2007年には国から旭日双光章を受章しています。文化・行政・武道界、三つの分野から最高峰の評価を受けたことは、氏の活動の幅広さと深さを物語っています。
96歳で生涯を閉じた後も、その遺志は長男・仲里稔(みのる)氏へと確かに受け継がれました。現在、稔氏は小林舘協会2代目会長として道場運営と技術指導を続け、師の教えを次の世代へと伝えています。この顕彰碑は、門弟や地域の人々の手によって建立されたもので、今も演武や記念行事を通じて師への敬意が表されています。
沖縄を訪れた際は、観光地の賑わいから少し足を伸ばして、この碑にもぜひお立ち寄り下さい。空手は沖縄が世界に誇る生きた文化遺産です。一人の人間が生涯をかけて守り、伝え、育てたその重みが、静かな緑地の中でひっそりと語りかけてきます。



